井上鉄工所の井上です。アジサイの花の色が日ごとに深まってきましたね。
今年も半分過ぎようとしていますが、後半はコロナも収束して、やり残しがないようにしたいものです。
メルマガを配信するようになって、皆様からお問い合わせやお声をかけていただいております。また、技術ハンドブックプレゼントも多数依頼をいただきありがとうございます。
今回より、3週間毎とゆっくりしたペースでメルマガを配信予定です。引き続き宜しくお願いいたします。
★お客様からのお問合せのご紹介★
Q:歯車の注文は、全行程をお願いしなくても、歯研だけでも受けてもらえますか?
A:歯研だけでも大丈夫です。まずは、お気軽にご相談ください。
【2】井上鉄工所の紹介『不具合発生時の社内統一ルール』
弊社の品質保障の取り組みの中で行っている不具合発生時の対応についての話をします。
井上鉄工所には、不良発生時に社内統一のルールがあります。
ルール化される以前は、担当者によって不良発生時の対応がまちまちでした。しかし、ルール化されてからは『不良が発生したら、まずお客様に報告する!』に統一されました。(不具合対策管理ボードでチャート図も作成し、徹底しています)
納品時ではなく、不良が発生した時点でお客様へ報告することにより、お客様の指示で動け、お客様も弊社も工程にもムダがなくなります。
例えば1個の受注あれば再作成になりますが、数十個のうちの1個の不良であれば再作成しなくて良い(たった1個のために再段取りをするのは大変面倒くさい)場合も出てきます。納品前に報告することで、お客様は早くに組立等の日時の変更ができ、お互いにメリットになります。
社内の対応は、若手は経験も浅いので不良が出た場合は「報告書」のみ(時系列で何をしたかの報告)とし、「不良対策」は、上司が経験しものであれば上司の指示に従い、上司でも分からない事であれば、今までの経験と知識から「仮説」を立て、一つだけ変える(複数立てると何が効いたのか分からない)。上手くいかなければ、同じことの繰り返しを行う。徹底して原因を追及します。
若手には『報告はウソをつかない』を徹底させています。
『病院行ってお腹が痛いのに、頭が痛いと言えば頭痛薬の処方箋が出てしまい、正しい処方はされない』それと同じで、ウソを報告されると正しい対策ができないのだと。
責任者はお客様の対応をし、不良品を作ってしまった者は、その不良品にとことん向き合います。失敗の振り返りや今後の対策だけでなく、1ケ月後同じ工程を作業する際に正しくできるようになったか、(注文がなければ更にもう1ケ月後)「有効性の確認」を行います。不良を発生させない対策をちゃんと行っているか、行っていればそれが習慣になっているか?という状態まで追いかけます。
不良の対策=習慣になっている事=有効性の確認
航空機認証取得の際も、ISO9001すら取得していないのに、本当にこの会社がJISQ9100を取るのに無理はないか?と思われたようですが、この不具合発生時チャートのしくみ化ができており、説明できたおかげでJISQ9100の認証に向けて動くことができました。
【2】社長コラム『ベテランIさんの話』
今回はベテランIさんの社員の話です。
もうすぐ65歳の温和な方で、勤続44年の大ベテランです。調子が良いと鼻歌で演歌を口ずさむような方です。環境整備で使用するipadの使い方を克服するために、解らないときは昼休みに事務所に行き事務員さんに使い方を教えてもらい、操作を覚えました。今では昼休みに事務所に行ってipadで演歌を聞くまでに(笑)
そんなIさんは、歯切りのベテラン社員です。
F君の入社前に“どんくさい“とIさんからきつく怒られることが多かった当時バイトの同級生がいました。環境整備で草取りを行った際にIさんがその子の出身校を訪ねたところ、何と同じ高校で後輩であることが判明!草取り後にコーヒーをご馳走して頂き、それ以来、Iさんの風当たりが優しくなったとか(笑)
Iさんが『今ではベテランと言われるようになったが、若手だった頃、自分も先輩にトロイと言われてよく怒られていたので、できない人の気持ちは解る。お前もできるようになるから頑張れ』と言ってくれるようになったそうです。
自分の若手時代を思い出してしまいますね・・
私が入社した時代は、先輩は後輩には仕事を教えてくれないそんな時代でした(若手が覚えて自分の評価が下がらないように)。
そんな中で、いつも私に教えてくれる先輩がいました。意地悪な質問と思いながら、その先輩に「どうして教えてくれるのか」尋ねてみたところ、
「自分が若い時代には先輩の機械操作をしている所を見ようとしても、隠されてしまうような時代だった。そんな時代に、ある先輩が自分が機械のそばに行くと操作をわざわざ見えるようにしてくれた。だから私もお前たちに先輩がしてくれたことを同じようにしているだけだ」と教えてくれました。
技術は見て盗む。そんな時代もありましたが、今は井上スタンダードが確立されていて、その頃の先輩の技術を見て、真似て、自分のものにする貪欲さが減ったようにも思えます。
先輩の良い所をドンドン真似て、世界に通用する人材に成長して欲しいのです。