(株)井上鉄工所の井上です。
暑くもなく寒くもない一番良い季節がやって来ました。
週末は残った灯油を使い尽くすように寒くもないのに一日中石油ファンヒーターがついていた。
福山での蕨取りのシーズンが終わり、県北部への進出を伺っています。
ゴールデンウィークが開始であろうか?北部では7月初めまで取れるので楽しい時間が始まります。
この前、お裾分けをした人から「どうやって食べるの?」と聞かれた。
そのままポン酢、そのまま桃屋のキムチの素、卵とじ、豚と炒める、ペペロンチーノ等のパスタに入れる、そして何より炊き込みご飯。
一年中あれば良いのに。目下、一年中食べられるように冷凍方法を塾考中。
4月の初めに長女から手紙が来た。
「就職したので保険証を返す。」とか言っていたなあと思い中を開けてみると保険証と写真と一通の手紙が入っていた。
「大学に行かせてくれてありがとう。素敵な4年間だった。」と書いてあった。
涙が出るかと思いましたね。入学してすぐコロナで私たちと違って思い通りに出来なかっただろうに、ジーンときました。
写真には付箋が付いていて「ベストな写真を4枚一旦預けておきます。」と書いてあった。
「戻せって言うんかい?」とツッコミを入れたくなるような文章でしたが、文句なく私の一番の宝物となりました。
【1】井上鉄工所の活動 『工場見学』
4/12金曜日、福岡で謀団体の工場見学があった。卒業して20年になるが、卒業後の方が参加率が大きい。毎回その地域の優良企業を紹介してもらえるので勉強になる。オーブンの製造ということだが、経営者の姿勢に感銘を受けたので書いて見たいと思います。
東京や大都市で人気の洋菓子屋さんはこぞってこの会社のオーブンを買うそうだ。〇ャトレーゼなどの有名洋菓子屋がここのオーブンを使っているという。父親が煎餅を焼いていた職人さんで、戦後は煎餅でなく洋菓子だといってオーブンの開発に乗り出した。当時80万円が相場だったオーブンを240万円で売り出した。職人さんゆえのこだわりが随所に込められていたが、そんな高い機械を誰が買うんだと揶揄されたそうである。父親が病気で倒れ、現在の社長が関東方面で教員をしていたがやむなく帰郷。営業などやったことがない素人がどうするべきかと悩んでそのオーブンをトラックに載せて営業に回った。こだわりのオーブンが凄いのは、カステラを焼くのは長年の経験が必要なのだそうだが、このオーブンでは素人の現社長が焼いても上手く焼くことができる代物だった。営業に行くと「こんな素人がカステラを上手く焼けるはずがない。」と放っておくと、素人が美味しいカステラを焼き上げてしまう。凄いといって1台、2台と口コミで売れていった。それが全国に行き渡り現在の洋菓子ブームの一因となっている。お客様の洋菓子屋さんから「忙しすぎて製品が間に合わない。あんたの所で焼いてくれないか?」という想像できないオファーに「じゃあ」と言って福岡に工場を建て、自社のオーブンを入れて製造まで手がけたという。歯車を加工している我が社に「シュークリームの生地を焼いてくれ。」と言われても「そんなこと出来ません。」と言っておしまいにしたい話である。
現社長に「成功の秘訣は何ですか?」と問うと「二人とも素人だったからじゃないですか?」と答えが返ってきた。「父親が素人だったから当時80万円のオーブンを240万円で売ろうとした。私も素人だったからトラックにオーブンを載せて行商に出かけた。プロの営業マンはそんなことはしない。」「お客様に寄り添っていたからこそ、製造が間に合わなくて助けてほしいという要請に何とかしなければと行動した。」素人でなくても「お客様に寄り添っている」と嘘のような本当の話が出来上がる。経営者たるものお手本としたい話であった。
〇ンブリア宮殿にも取り上げられた企業なので、詳しくはそちらで確認して下さい。(言い回し等は私の勝手な表現です。正確さはご容赦下さい。)
翌日太宰府天満宮へ参拝。なんと太宰府天満宮が124年ぶりに大改修を行うという事で,3年間の「仮殿」が造られている。伊勢神宮は20年ごとの式年遷宮があるが、天神様は菅原道真が生まれも没年も25日だそうで、25の数字を基にしていると案内された(〇Cの卒業生)。2023年5月から約3年かけて改修。2027年の「菅原道真公1125年式年大祭」を前に令和の大改修が行われている。この仮殿は建築家の藤本壮介氏が手がけている。(もちろん大改修後は取り壊される)行ったことがある人は多いと思いますが、こんなことになっているって知ってました? 身近なところで知らないことが多い。
【2】出展告知
エンジンフォーラム神戸2024
6/11(火)~6/12(水)にエンジンフォーラム神戸2024に出展します。
エンジンフォーラム神戸は、航空エンジンなどのエンジンと産業用ガスタービンエンジンに特化した日本初開催となる国際的な展示商談会です。
国内外のエンジン&ガスタービンメーカー・各種サプライヤー・関係機関が一同に集まり、主催者独自のマッチングシステムを活用して期間中活発な商談を実施します。
新規ビジネス創出・企業間ネットワーキングに活用できる エンジンフォーラム神戸のプログラム:・商談機会を高めるビジネスマッチング・自社 PRができる ブース 展示・国内外のエンジンメーカーによる講演・出展者プレゼンテーション・ネットワーク 交流会
コロナ禍からの反転攻勢の一歩としてご来場ください。
日時(リアル開催) | 2024/06/11(火) 09:00~18:00 06/12(水) 09:00~17:30 |
場所 | 神戸国際展示場3号館 (〒650-0046 兵庫県神戸市中央区港島中町6-11-1) |
料金 | 200ユーロ |
近くにご来場の際は、是非お立ち寄りください。
【3】社長コラム 『 「風景」と「儀式」』
先月の終わりに一番下の娘が「今日、運動会でムカデ競争で1位になった。」と嬉しそうに妻に話していた。何だろうと思って聞いていると、妻が「1位になった要因は何だと思う?」と聞いている。少し考えて「よそのチームはみんな「1,2,1,2」と言ってたけど、私たちのチームは「右、左、右、左」って言ってたの。だって、スピードを上げるときに「1,2」ではどちらの足が正しいのか分からないけど、私たちは「右、左」って言っているのでみんなの足が揃うもん。」と興奮気味に話していた。なるほどなあ。ちゃんと意味があると人は動くという事であろうか?
私は良く「風景になっていないか?」と朝礼や勉強会でその言葉を使う。毎日の環境整備で「これいつからココにある?」と聞くと、「そう言えば半年ぐらいになりますかねえ。」と答えが返ってくる。「風景になって見えなくなっているねえ。」と指摘する。ベテランほど[風景]になりがちで、新しい社員ほど素直に答えてくれる。新入社員には「機械を習得するには時間がかかるが、先輩たちが気づかないこに気づく。初めてしたことが不便だと思えば教えてほしい。どこになるか分からないと言うことを教えてほしい。」とお願いする。初めはポカンと気づかないが「風景になっていない新人に教えてもらいたい」という私の意図が理解できるようになる。
もう一つは「儀式」! お恥ずかしい話だが、先日起こったばかりの話である。入社して2ヶ月の子が加工したものが0.01mm公差が外れているとベテラン社員から報告があった。聞いてみると「測り方が少しきついんですかねえ。」と言う。ちょっと待て、毎月測定技能研修を行っているのに他人事の報告にカチンときた。我が社では新人教育の為に1年間ベテランが新人の測定技能のチェックを行うことになっている。それも最近は「ベテランが見本を見せるのでついでに全員でやろう。」(素晴らしい!)ということになっていた。そこまでは良かったがやり方がまずかった。ブロックゲージをマイクロメータで測るのに50mmのブロックゲージを与えられたら誰でも無意識に50.000mmに合わせてしまう。答えを知っているからである。無理矢理50.000mmに合わせる「儀式」を行っていたのである。これからは機械についている歯車を無作為に選び、4,5個測るという方式に改めた。答えは分からない。チェックするのは寸法は当然。プラスして手順、動作のチェックに重きを置くようにした。
これも最近起こったこと。歯切りのナットの締め忘れである。よくある話だが、これを起こした子は1度や2度ではない。対策として「ナット締め良し!」と指差呼称を行うことにしたが、「ナット締め良し!」の指差呼称は行ったが締めていなかった。「儀式」を行なっていたのである。歯切りでは回転数が遅く、ワークアーバーが中に入っているので飛んでくることはないが、旋盤だと飛んできて自分に当たる可能性がある。一大事である。おそらく自分に飛んでくると痛い目に遭うので締め忘れは起きないと推測する。初め意図していたことがすることだけに変わり、することの目的が変わってしまう。現在の大手企業の不正もこのようなことから始まっているのではと危惧する。早く正常に戻ることを願ってやまない。